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政治をわかりやすく身近に。アメリカ大統領選とインフォグラフィック

「2012 アメリカ大統領選挙 | Connect USA」をご覧になりましたか?

アメリカ大使館公式サイトからリンクが貼られているサイトで、大統領選についてわかりやすく伝える内容となっています。

2012 アメリカ大統領選挙 | Connect USA

2012 アメリカ大統領選挙 Connect USA インフォグラフィック
2012 アメリカ大統領選挙 | Connect USA

ピクトグラムや図表、動画を組み込んでいて、インフォグラフィック・サイトと呼んで良いでしょう。

「2012 アメリカ大統領選挙 | Connect USA」でまず注目したいのが、サイトの構成です。
大きく7つに分かれています。

マジカルナンバー7

マジカルナンバー 7

人間が一度に認識(記憶)できる情報は7つまでという話をどこかで耳にしました。
アメリカの心理学者ジョージ・ミラーの論文「マジカルナンバー7±2」をもとにした話のようです(Wikipedia参照)。

「2012 アメリカ大統領選挙 | Connect USA」の構成は、7つ。
全体像(LEVEL1〜7)が一目でわかるようになっており、見てみようという気になる数です。

表とピクトグラム

図表とピクトグラム

サイトのレイアウトは、左側が民主党・オバマ氏、右側が共和党・ロムニー氏となっており、表もその流れを汲んでいます。
文字で書くだけではなく、ピクトグラムを使って内容の違いを表しています。

インフォグラフィック

2012 アメリカ大統領選 Connect USA インフォグラフィック 2

サイト全体が一つのインフォグラフィックと言えますが、その中でももっともインフォグラフィックらしいのがこの部分。
大統領選のはじまりから終わりを、レースをモチーフにしたグラフィックで解説しています。

動画の埋め込み

2012 アメリカ大統領選 Connect USA 動画

詳しい説明が必要な内容については、動画を埋め込み補足しています。

カレンダーの埋め込み

2012 アメリカ大統領選 Connect USA イベントスケジュール

選挙に関するスケジュールがわかるようにイベント・カレンダーを埋め込んでいます。

専門家監修

2012 アメリカ大統領選 Connect USA 監修

監修者として大学教授の名前がクレジットされています。
どんなインフォグラフィックにも言えることですが、ミスリードを避けるため、専門家による監修が望ましいです。

僕が海外サイトを中心に、インフォグラフィックをよく目にするようになったのは、2010年。

インフォグラフィック共有サイト「VIsual.ly」がローンチしたのが2011年4月のことです(Wikipedia参照)。

4年前の大統領選の頃と比べて、インフォグラフィック活用が広まっていることもあって、「2012 アメリカ大統領選挙 | Connect USA」のようなサイトが生まれたのでしょう。

調べていたついでに見つけましたが、オバマ氏のサイト「barackobama.com」にはインフォグラフィック・カテゴリーがあります。

barackobama.com

barackobama.com インフォグラフィック
インフォグラフィック・カテゴリー
(キャプチャ画面のインフォグラフィック記事は、いいね数が22k、ツイート数が2,085)

インフォグラフィックの活用がアメリカで広まっていることの現れだと思います。

インフォグラフィック共有サイト「Visual.ly」や「visualizing.org」にも大統領選に関するインフォグラフィックの投稿があります。

Elections 2012

visual.ly Elections 2012
Visual.ly

Visualize the U.S. Election

Visualize the U.S. Election visualizing.org
visualizing.org

政治には多くの人が理解できるわかりやすさが必要です。
正しく使えば、インフォグラフィックはその手助けをします。
「正しく」と言うのは、誇張や間違った結論付けを招く表現もインフォグラフィックで出来てしまうからです。

最後に。
日本でインフォグラフィックの政治利用は普及するのか?
アメリカ大統領選の事例のようには、2つの理由でならないと考えます。

理由1: インフォグラフィックの作り手がいない

英語圏のインフォグラフィック共有サイトを見ると、質量ともに素晴らしい作品が投稿されています。
インフォグラフィックを専門とするデザイン・スタジオもあります。
インフォグラフィックス・スタジオ「ffunction」
インフォグラフィックス制作スタジオ「RIPETUNGI」
インフォグラフィック作成のヒントに。JESS3

制作費用や制作時間に対する考え方も今の日本の状況と違うように感じます。
インフォグラフィック作成費用はいくら?納期はどれくらい?

日本のデザイナーが良いインフォグラフィックを作れないか?
答えは「ノー」です。
雑誌やパンフレット、ウェブサイトでわかりやすくてかっこいいデザインを目にします。
でもそれらは(想像ですが)「インフォグラフィック」としての制作依頼はされていないと思います。
「グラフィック・デザイン」のくくりであったり、「ウェブ・デザイン」のくくりで語られているのではないでしょうか?
「インフォグラフィック・デザイン」が独立したものとして語られるようになり、制作費にデザイン費に加え、データ解析や編集費用が入るようになれば、市場ができて作り手が増えるでしょう。
今は、インフォグラフィック制作に手間ひまを掛けられる人が少ないと感じています。

理由2: 政治分野のインターネット活用が進んでいない

アメリカで起きているインフォグラフィック活用はインターネット、ソーシャル・ネットワークが盛んな世界を想定したものです。
オバマ氏がサイトでインフォグラフィックを公開するのは、ネット上で共有(拡散)してもらう狙いがあると思います。
日本の政治活動にインフォグラフィックが馴染むとは現状考えられません。

政治分野のインフォグラフィック活用の可能性はないのか?

個々の政治家による活用は難しいとしても、政府関連のウェブサイトやニュース・メディアのサイト、政治を特集した雑誌、新聞での活用は考えられます。
しばらくは、インフォグラフィック専門のデザイナーではなく、ウェブ・デザイナーやグラフィック・デザイナーが制作を担当する時期が続くと思います。

プロフィール

櫻田潤

櫻田 潤

プログラマー、システムエンジニア、ウェブデザイナーを経て、2010年よりビジュアルシンキング運営開始。2014年12月よりNewsPicks編集部でインフォグラフィックス・エディターとして記事執筆。研修・インベント講師や書籍執筆も行なっている。著書に『たのしいインフォグラフィック入門』ほか。

12 Nov, 2012