情報デザイン

どうやってビッグデータを社会に活かすのか。人の流れラボが描く活用プロセス

「データ」がどれだけ膨大にあろうとも、それを「社会」に役立てられなければ、価値がありません。
「データ」と「社会」をつなげるためには、どうしたらよいでしょうか?

データは文字や数字の羅列でできていて、データ解析の専門家でないとなかなか内容を把握できません。
必要なのは「データの持つ意味」をデータの専門家以外にもわかるようにすることです。
その方法の一つとして、海外で注目されているのが「データ・ビジュアライゼーション(データ視覚化)」です。

パリ地下鉄利用者データの場合

たとえば「Metropolitain.io」は、パリ地下鉄の利用者データをもとにしたデータ・ビジュアライゼーションです。
各路線の時間帯ごとの混雑状況、平均所要時間が捉えられ、地下鉄利用者はもちろん、交通計画・都市計画にも役立つものとなっています。

metropolitain.io

この事例と同じように、人の動きを視覚化して、社会的課題の解決に活用しようという取り組みが日本でも始まっています。
「人の流れラボ」が進めているもので、位置情報を視覚化して、人の流れ(どの時間帯にどれくらいの人がどの場所を動いているのか)を把握し、企業や社会の問題解決に役立てようというものです。

人の流れラボ

人の流れラボ

「人の流れ」の社会的活用プロセス

たとえば東京都内の人の流れの傾向を考えてみましょう。
混雑する時間帯や場所の予測ができれば、東京オリンピックに向けて、警備を厚くした方が良い場所が導き出せます。
また、地震などの災害対策にも「人の流れ」情報は役立ちます。

「G空間EXPO2013」(昨年11月開催)のセッション「位置情報とビジュアライゼーション」をもとに、「人の流れ」を社会的課題の解決に活用するまでのプロセスをまとめたのがつぎの図です。

「ビッグデータ」は、「ビジュアライゼーション」「解析(アナリシス)」を経て、「社会(ソーシャル)」に活かされます。

「人の流れ」の社会的活用プロセス

プロセス1:Big Data

「人の流れラボ」の場合は「膨大な位置情報」(匿名化済データを使用)が「ビッグデータ」に当たります。

プロセス2:Visualization

位置情報とビジュアライゼーション

データを視覚化し、大まかな流れを捉えます。
生データ(文字や数字の羅列)からはわからなかった特徴的な事象(異常や変化)を見つけられます。

プロセス3:Analysis

異常や変化の内容を解析・検証し、必要な情報を見定めます。
必要な情報が見えてくるまで、「Visualization」と「Analysis」は繰り返します。

「Visualization」と「Analysis」のプロセスでは、位置情報にその他データを加えて、情報の精度を高めていきます。
位置情報だけだと、ある場所が混雑していることはわかっても、その混雑の理由まではわかりません。
そこで、たとえばその場所に関するTwitter上のつぶやきを重ねて、混雑の理由(花火大会が行われていた、など)を見つけます。

プロセス4:Social

大量データの中から絞り込まれた必要な情報は、視覚化されることで多くの人が共有しやすい状態になります。
交通計画や都市計画、災害対策の専門家によって活かされて社会的課題解決に役立てられます。

ビジュアライゼーションの4つの役割

最後に、ビッグデータ活用でビジュアライゼーションが果たす役割を4つ挙げておきます。

・役割1:全体をおおまかに捉えられる
・役割2:重要な情報にあたりをつけられる
・役割3:追加の情報を重ねやすい
・役割4:データ専門家以外とも内容共有しやすい

役割1~3を目的とするビジュアライゼーションは、データ解析の専門家の間でこれまでも行われてきています。
しかし、そのアウトプットはそのままの状態ではとっつきにくく、一部の人にしか内容が理解できないものでした。
社会的活用に向けて、特に大事なのは、役割4の「共有」を考えたビジュアライゼーションです。
デザインの観点がビジュアライゼーションに求められるようになってきます。

「人の流れラボ」もビジュアライゼーションの方法を模索しており、バージョンアップさせていく考えです。

この記事について

この記事はビジュアルシンキングと「人の流れラボ」のコラボレーションで生まれました。

プロフィール

櫻田潤

櫻田 潤

プログラマー、システムエンジニア、ウェブデザイナーを経て、2010年よりビジュアルシンキング運営開始。2014年12月よりNewsPicks編集部でインフォグラフィックス・エディターとして記事執筆。研修・インベント講師や書籍執筆も行なっている。著書に『たのしいインフォグラフィック入門』ほか。

20 Jan, 2014