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ドラッカー図解: 知識社会のストレスと対策

P.F.ドラッカー著書「ネクスト・ソサエティ」を図で理解するシリーズ。シリーズ5番目の記事を表示中。シリーズ目次はこちら

前回の記事では、知識労働者の特徴を整理しました。
今回は、知識社会のストレスについてまとめたいと思います。

こちらの記事も参考にして頂きたいのですが、「知識社会」は高度な競争社会です。
「知識社会」化は進行しているという実感が僕にもあります。

日本企業は、あらゆる業界で積極的に海外市場を目指し始めています。
ある時期まで、グローバル化は「海外生産」することを意味していたような気がします。それが、「海外販売」することに大きく変わってきました。
企業の規模、提供する価値の種類に関係なく、海外市場での競争が起こっています。

また、個人レベルで考えると、「価値のある人間」の定義が変わったと思います。
単なる「物知り」さんは急速に価値を失いました。
検索エンジンや掲示板、ソーシャルネットワークが「物知り」さんに変わりました。
昔の「物知り」さんは、知識・情報が移動しない社会において、それを囲い込むことで特別な地位を保てました。
誰もが「物知り」さんになれる社会では、情報を活用して新たな価値を生み出す力が問われます。

「知識社会」では、組織、個人レベルで高度な競争が起こります。
そして、高度な競争によって、過度のストレスが生まれます。

ドラッカーは次のように書いています。

知識社会に特有の上方への移動は高い代償をともなう。それは競争にともなう心理的な圧力と精神的なストレスである。敗者がいるからこそ勝者がいる。昔の社会はそうではなかった。無産者の子は、無産者であっても敗者ではなかった。

図6: 知識社会のストレスと対策

ドラッカー「ネクスト・ソサエティ」図解6

ドラッカーは、生活の一部に「非競争的な場所」を持つことを勧めています。

知識労働者たる者は、若いうちに非競争的な生活とコミュニティをつくりあげておかなければならない。コミュニティでのボランティア活動、地元のオーケストラへの参加、小さな町での公職など仕事以外の関心事を育てておく必要がある。やがてそれらの関心事が、万が一に燃えつきたとき、貢献と自己実現の場を与えてくれることになる。

こうしたコミュニティ参加は、ストレスの解放だけではなく、「知識」のタコツボ化を防いでくれるかもしれません。

書籍参考ページ

今回の記事は、「ネクスト・ソサエティ」(Amazonで見る)の28〜29ページをもとに書いています。

記事に関係する本

プロフィール

櫻田潤

櫻田 潤

プログラマー、システムエンジニア、ウェブデザイナーを経て、2010年よりビジュアルシンキング運営開始。2014年12月よりNewsPicks編集部でインフォグラフィックス・エディターとして記事執筆。研修・インベント講師や書籍執筆も行なっている。著書に『たのしいインフォグラフィック入門』ほか。

11 Apr, 2011