Vox記事に、データ・ジャーナリズムを想う

アイスバスケットチャレンジの広がりに伴って、メディアも一時期、関連記事の公開を盛んに行っていました。その中でVoxの記事「The truth about the Ice Bucket Challenge: Viral memes shouldn’t dictate our charitable giving」を取り上げます。

この記事では、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のレポート(2011年版)をソースとして、病死者が多い病気(アメリカ)と主なチャリティー活動の募金額の順位を並べて見せています。

Vox チャリティー バイラル インフォグラフィック 1
image by Vox

このようにデータを最低限の編集で視覚化して見せたものを「データ・ビジュアライゼーション」と呼び、データを視覚化するだけではなく、そこから導いた答え・ストーリーもビジュアルに組み込んでわかりやすく解説するものを「インフォグラフィック」と呼び分けたりもします。

Voxの記事は、画像では「データ(事実)」のみを扱い、記事文章で「見解」を伝えているので、「データ・ビジュアライゼーション」の流れを汲んでいます。この形式が良いのは、読者はメディアの「見解」をただ読むだけではなく、「データ(事実)」を見て自分なりの考えを導き出せる点です。

データを素材としてメディアが提供し、読者がそれを料理する、これは僕が考える「データ・ジャーナリズム」の姿に近いのですが、このケースではデータの見せ方に問題があったようです。

Randy Krum氏が、彼のブログ「Cool Infographics」の記事で問題を指摘しています。
False Visualizations: Sizing Circles in Infographics

指摘しているのは、円の大きさです。
Voxのオリジナルに対して、正しいデータ表現ではどうなるか、提示しています。

Vox デザイン 見直し 1
image by Cool Infographics

二つの違いはどこにあるのでしょうか?

Voxが、円の直径サイズでデータの差を表現しているのに対し、Randy Krum氏は面積で表現しています。

僕も以前、Voxと同じ失敗をしてしまいそうになりましたが、『ビューティフル・ビジュアライゼーション』を読んで、間違いに気がつきました。
インフォグラフィックス制作プロセス その3(村上春樹長編12作品Amazonレビュー数比較篇)

Randy Krum氏はほかにも改善を重ねています。

Vox デザイン 見直し 2
image by Cool Infographics

基準を病死者数(右列)に決めて、チャリティー額の並びをそれに合わせたのがポイントです。
こうすることで、一つの基準に沿って、上からデータを照らし合わせながら見ていけるので、何が起きているかを把握しやすくなります。

Vox記事の全体構成自体はよいものですが、データの見せ方で注意が必要でした。
検証したRandy Krum氏、すばらしい。