怖がらなければ何ができる?(『リーン・イン』を読んで)

リーン・イン

はじめに

シェリル・サンドバーグ(Facebook最高執行責任者)の新著『オプションB』を読んだ流れで、前著『リーン・イン』もあわせて読みました。

リーン・イン シェリル・サンドバーグ

『オプションB』のテーマは、落ち込んだ状態から「回復する力」でどちらかと言うと、守りの話。それに対し、『リーン・イン』は「一歩踏み出す力」を主題にした、攻めの話。攻守における「心のもち方」をこの2冊でカバーしています。

リーン・イン オプションB シェリル・サンドバーグ

『オプションB』に関しては、先日書いたので、ここでは『リーン・イン』について、気に留めた箇所を振り返ります。
関連記事:メンタル回復を早める方法(『オプションB』を読んで)

一歩踏み出すには?

「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」と子どもの頃から刷り込まれたイメージ。このステレオタイプ(性別、人種、国籍、年齢など)の枠から一歩踏み出して、自分の可能性を広げるにはどうしたらいいか。

シェリル・サンドバーグ リーン・イン ステレオタイプ

踏み出す枠は、2つあります。ひとつは、他人からの目、もうひとつは自ら設定した自分の限界。

枠からはみ出ることで、批判されるかもしれない。今まで積み重ねてきた評判を台無しにするかもしれない。やったことがないので、できるか自信がない。

この恐れを乗り越えるのに、シェリル・サンドバーグは自信のあるふりをする「見せかけの戦略」を勧めています。

自信がもてないときに私が使う技の一つは、とりあえず自信があるふりをすることである。(『リーン・イン』より)

自信のあるふりをする

うまく自信があるようにふるまえたら、それをチャンスをくれそうな相手に見えるようにします。チャンスを舞い込むには手を挙げ続ける必要があります。

リーン・イン シェリル・サンドバーグ

現代の世界がめまぐるしく変化していることを考えれば、チャンスを逃さずに掴むことは、以前にもまして重要である。新しいポストができたとき、応募者全員を注意深く評価する時間さえ十分とれないというのに、もじもじためらっている人に応募するよう説得する手間など誰もかけはしない。しかも最近では、チャンスがチャンスとして提示されないことも増えてきた。誰かがやって来て、自分はこれをやりたいとか、あれができるとか言う。するとそれが、その人の仕事になるのである。(『リーン・イン』より)

自信過剰な煙たさが出てしまったとしても、チャンスが訪れる可能性があるのは、自信のない人よりは、自信のある人(自信のあるふりをしている人)だというのは納得です。

チャンスに自分をフィットさせる

見せかけで掴んだチャンスには、現在の能力と必要とされる能力との間にギャップがあります。ギャップをすべて埋めてから挑戦するのではなく、足りない分は後から埋めていくという順序がミソです。

リーン・イン シェリル・サンドバーグ

そうしたリスクをとる気持ちにさせる言葉が、シェリル・サンドバーグが務めるFacebookの壁には貼ってあるそうです。

「運は勇気ある者に味方する」
「とりあえず始めよう、大胆に」
「怖がれなければ何ができる?」
「完璧を目指すより、まず終わらせろ」

これもまた「見せかけ戦略」と同じく、「なりたい自分」に近づくため、気分を高めるものです。心のもち方を変えるだけで可能性が広がるのなら、そうしない手はありません。

おわりに

シェリル・サンドバーグは恵まれている。理解のあるボス、マーク・ザッカーバーグがいて、これまでのキャリアも輝かしいものだ。

そう言って、「参考にならない」と言うのは簡単。でも、この本や『オプションB』を読む限り、シェリル・サンドバーグも弱さをもった一人の人間で、弱さに抗って生きているのだとわかります。

私の意見はときに無視されたり、相手にされなかったりする。それでもくじけず、手を挙げつづけなければならない。隅っこに座らないで、テーブルに着かなければいけない。(『リーン・イン』より)

『リーン・イン』で一番好きなのがこの一節。彼女はめげずに手を挙げ続けた。その結果、今のシェリル・サンドバーグがある。素直にこう捉えた方が、「自分にもできる。自分にだってチャンスを掴める」と一歩が踏み出せそうです。

リーン・イン シェリル・サンドバーグ

プロフィール

櫻田潤
櫻田 潤(さくらだ・じゅん)

プログラマー、システムエンジニア、ウェブデザイナーを経て、2010年よりビジュアルシンキングを運営。あわせて、インフォグラフィックのデザインも始める。2014年、NewsPicksにインフォグラフィック・エディターとして参画。ビジュアルを用いた記事を多数、執筆デザイン。2017年よりNewsPicksのクリエイティブを統括。著書に『たのしい インフォグラフィック入門』『図で考える。シンプルになる。』ほか。